東京農業大学 酒仙会代表 豊田さんと、SAKE Street執筆者 山岸さんとオンライン対談を行い、フエフーズについてお話しする機会をいただきました。
フエフーズの創業について
まずフエフーズの創業についてですが、創業者は私の祖父です。
海外で酒蔵を作った理由は、単純に日本で酒蔵を作ることができなかったからです。
なぜベトナムかというと、これまた非常に単純で、コメが多くあったからという理由だけです笑
- それで今も続いてるからすごいですね
そうですね、それでなんとかやっていけてます。
では何を作っているのかと言いますと、
清酒、焼酎、リキュールをメインに、ミリンや料理酒も扱っております。
- フエフーズのSAKEの味はどんな感じですか?
通常の日本酒とはコメが違うので、少し変わった風味がします。泡盛に近いという表現がいいかもしれません。泡盛はタイ米を使っていて、寝かせ方も似ているので、味も似てくるのだと思います。
環境の違い
ベトナムで作っていて、何が違うかと言いますと
作り手、コメ、水
それぞれ日本と全く異なります。
作り手について
- ベトナムでの働き方はどのような感じですか?
働き方が日本といろいろ違って、まずサービス残業のようなものは絶対に存在しないし、あったらみんないなくなってしまいます。7:30に始業し、16:30には完全に仕事が終わり、そのあとはみんなでバトミントンをしています。コンクリートに穴を空けてバトミントン場を作りました笑。
こういう方達が頑張って作ってくれているお酒を提供しています。
1995年のベトナム進出時から今までずっと働いてくれている方もいます。
- では、ベトナムではかなり有名なんですか?
現地のフエでは酒といえばフエフーズという認識は持ってもらっています。
また、天皇陛下がかつてベトナムをご訪問された際に、越の一を献上させていただきました。
- 技術的なことは何語でコミュニケーションを取っているのですか?
まず杜氏は日本語しか喋れません。なので、通訳の人がいますが、なんと、ベトナム人の従業員が日本語を勉強しはじめました。今ではみんなカタトコでしゃべることができます。僕も日本語の教師をしています。
コメについて
ベトナムあるあるですが、コメの選定はサンプルをみて行うのですが、実際に送られてくるものがサンプルと全然違うということがよくあります。
- 違うものがきた場合、どのように対応なされるんですか?
多くの場合はそのまま使うこともあります。それでも、作り手、杜氏の素晴らしい技術で、毎年同じ品質の酒を作れています。
水について
ベトナムの水は軟水です。日本と違って、海外の水は大体飲めないのが基本ですが、フエではコカコーラを始めとした様々な飲料メーカーが集まるくらい水はきれいです。弊社の杜氏いわく、京都の伏見の水に似ているそうです
意外と知られていない海外SAKE&日本酒事情
- 海外では日本酒はどのくらい作られているか?
44蔵以上あるらしいですね。
- どういう酒が各国で好まれているのですか?
地域によって全然違います。例えばアメリカの東側と西海岸でも違います。また、東南アジアでは酒の種類というよりmade in japanの酒が非常に人気です。
- 東南アジアでは日本酒以外も日本産で他のお酒も有名なのですか?
日本産のウイスキーがめちゃくちゃ人気です。空港に行けばみんな持ってます。
- 海外で日本酒を作る時の品質向上のネックはなんですか?
コメは大きいですね。コメと日本酒の歴史は面白くて、日本酒は日本で生まれるべくして生まれたんですね。日本は日本酒、韓国だとマッコリ、中国だと白酒や紹興酒だっとりと、各地でそれぞれに最適化された状態で生まれたんですね。なので、無理やり日本酒をそのまま海外に当てはめようとすると矛盾がおきます。日本酒をリスペクトしているので、味は似てはきますが、完全に同じものを作ろうとするとコメや気候、文化の障壁があります。
今回お話しさせていただいた豊田さんが代表を務める酒仙会のtwitterはこちらになります。
https://twitter.com/nodai_ponshu
また、山岸さんが執筆を行うSAKE Streetはこちらです。
https://sakestreet.com/
今後も対談などを通じて、SAKEを世の中に広めていきたいと思います。